被暗示性と古典催眠

被暗示性と古典催眠

被暗示性とは暗示に対する反応の度合いのことで、催眠に掛かりやすいことを被暗示性が高いと言います。
この被暗示性は人によって高かったり低かったりしますが(個人差があるからこそ被暗示性という用語ができたわけで)、なぜ人によって違うのでしょう。
へっぽこ自身は催眠術の成り立ちに関係しているのではと考えています。

催眠自身は古代エジプト時代から利用されていましたが、近代催眠の起源は18世紀の医師メスメルが提唱したメスメリズム(メスメル本人は動物磁気と考えていた)とされています。
磁石(磁気桶)の力で患者を治すメスメリズムはメスメルの弟子達により発展し、後には磁石を使わなくても言語による暗示で同じ現象が起せることが知られるようになります。
そしてこの現象を引き起こす技術はブレイドに催眠術(hypnotism)と名づけられ、フロイトにより否定されるまで精神医療の現場で利用されることになります。

これが現代では現代催眠(これについては後述)と対比する意味で古典催眠と呼ばれる催眠術の成り立ちですが、乱暴な言い方をすると催眠術というのは、なんだか分からないけどやってみたら効果があった、の積み重ねで成立しています。
あまりに乱暴すぎて当時の研究者に呪い殺されそうな暴言ではありますが、その側面があることは否定できません。
なぜなら催眠術というのは人間の精神構造を解析して作ったものではなく、メスメリズムという不思議な現象が先にあり、そこに理論を後付けしたものであるからです。
そのため、古典催眠の範疇においては、大多数の人間に適用される様式美的な催眠技法が存在し、その技法で上手く催眠誘導される人を被暗示性が高い、上手く催眠誘導されない人を被暗示性が低いと呼んできたのです。

この様式美的な催眠技法は良くできており相当な確率で適用できますし、被催眠者が訓練することで適用されやすくすることもできます。
しかし、あくまで汎用的な手法であるがため、人によって適用の度合いが変わりますし、ほとんど適用できない人も存在するわけです。
これが被暗示性の高低ではないかと、へっぽこは考えているわけです。

ではもっと確実に、フレキシブルに適用できる方法はないのでしょうか。
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